
幼い頃に負った深い心の傷。たとえいくつになっても傷を負った幼い自分はいつも心の中に潜んでおり、これを「インナーチャイルド」と呼びます。
インナーチャイルドは本来は関わるべきではありません。しかし恋愛がうまくいかなかったり、異性が怖かったり、またいつも性格に難がある恋人ばかり選んでしまったりという人の中には、このインナーチャイルドが問題の原因になっていることがあります。
そこで今回はインナーチャイルドを癒やす方法について説明します。
目次
■インナーチャイルドのせいで恋愛に問題を抱える人も

みなさんも物心がつく前の幼い頃、びっくりするようなひどい仕打ちを受けた記憶があるのではないでしょうか。それは同じ歳くらいの友だちがしたことかもしれませんし、見知らぬ大人かもしれません。また親や親戚かもしれません。
ときには事故や災害もあることでしょう。いずれにせよ、幼い頃に負った恐怖の体験をインナーチャイルドと呼びます。『インナーチャイルド』とは幼少期のトラウマのことであり、自分だけが持つ特別な恐怖のことです。
インナーチャイルドは響きこそ可愛らしいものですが、実際には天使のようなものではありません。インナーチャイルドとは、いまだに癒えない子ども時代の深い心の傷であり、当時に遭遇したときの記憶や衝撃のことです
インナーチャイルドが出てくるというのは、たとえば車の急ブレーキの音を聞くと、子どもの頃に交通事故に遭ったシーンが蘇ってきてフラッシュバックが起こったり、また過呼吸を起こしたりするようなものです。けっして良いものではありません。
このように興味本位で関わることは避けたいインナーチャイルドですが、しかし、インナーチャイルドが原因でいつも同じパターンの失恋を繰り返す人がいます。いわゆるダメンズくんやメンヘラさんに引っかかっては、散々振り回された挙げ句、毎回心に傷を残す終わり方になる人などは典型例と言えるでしょう。
よくあるパターンとしては、幼少期、親から暴力を受けたり、父親(母親)が浮気したことが原因で両親が離婚したという人です。このような人の中には、罵声や暴力を奮ってくる人を恋人に選ぶ傾向があったり、浮気癖のある相手を無意識に選んでしまうという人が見受けられます。
また、過去に異性からひどい仕打ちを受けたばかりに、異性そのものがトラウマとなっていて異性に近づけないという人もいます。
私としては、本来であれば心療内科やカウンセリングに通うことをおすすめしますが、恋愛を理由に病院に通うのには勇気がいるかもしれません。しかし、もしインナーチャイルドが原因で恋愛に問題を抱えていることがわかっているのであれば、インナーチャイルドを癒やす方法もないわけではありません。
■インナーチャイルドを癒やす方法

「インナーチャイルド」は正確には心理学の用語ではありません。もしインナーチャイルドを規定するのであれば、それは幼少期に起きていまだに人格形成に負の影響を与えている出来事・トラウマ・衝撃であると言えます。
インナーチャイルドを癒やすには以下の3つの手法が効果的です。
①「手放し」を応用する
手放しは引き寄せの法則の要の一つです。手放しとは、自分が抱え込んでいる執着心を手放すことで、願望を潜在意識に落とし込むことを指します。
人間は一日に約6万回思考すると言います。加えてアメリカの心理学者シャド・ヘルムステッターは「人間の思考はそもそもがネガティブなものである」と述べています。このネガティブなものの中でも、同じ内容で繰り返し湧き上がる思考やそれに付随する感情があるのではないでしょうか。
これにそっと触れてみましょう。思考に深く潜り込んだり、呑まれたりしてはいけません。たとえば彼氏といつも大喧嘩してしまうのであれば、イライラしたときに「あ、いつものパターン」と気づいてみる感じです。
このときのコツは『軽く触って、そして手放す』ことです。なぜなら、自分の思考を客観的に眺められるということは、それを自分から切り離すことができているということだからです。
手放しは繰り返すほどに効果がありますし、引き寄せの法則を上手に発動させるレッスンにもなります。
②シナリオを問う
これは深い心の傷ががっちりと心に食い込んでいるために「軽く触って手放す」行為がなかなかうまくいかない人のためのものです。
心の痛みを癒やすことを専門にしているアメリカの著述家・講演家、バイロン・ケイティは、人は誰でも出来事に対してシナリオを作っていると述べています。
セミの鳴き声を「夏が始まったな、すてきだな」と思う人もいれば「うるさいなあ」と感じる人がいます。スイーツが大好きな人もいれば、甘いものは好きじゃないと感じる人もいます。
いずれにせよ、これらはあるできごとに対する解釈です。そしてこれらの解釈を変えることで私たちは生き方を変えることができます。そのためのコツとしては、心に繰り返し思い浮かんでくるできごとに対して「それは本当に悪いことなの?」と問いかけてみることです。
たとえば子どもの頃、父親が暴力を振るって離婚したとします。「それは本当に悪いことなの?」と問いかけたら、答えは「イエス」でしょう。しかしイエスであると同時に「だから私は自立した生き方を選ぶことができた」と言うようにシナリオ(解釈)を変えることはできます。
同様にギャンブル好きのダメンズ君と付き合って心に傷を負ったとしても「結婚して子どもができる前に別れられて良かった」と捉えることもできます。
これは言い換えればインナーチャイルドを無理に押さえ込んだり、顔を背けたりするのではなく、受け容れてあげることを意味しています。
過去に起こった出来事そのものを変えることはできません。しかし「絶対に許さない」と言ったシナリオ(解釈)を変えることは可能です。
③自分をいたわる
この世界で幼少期のあなたを一番知っている人物は誰だと思いますか? あなたの父親でも母親でも兄弟姉妹でも友人でもありません。
それはあなた自身です。
辛い思い出を抱えてインナーチャイルドとなった幼い自分もまた、現在の自分を築いているものの一部です。だからもしもインナーチャイルドと思しき感情が湧いてきたのであれば、そんな自分を心の中で優しく抱きしめてあげましょう。気分が穏やかになってくるのがわかるはずです。
精神科医のイハレアカラ・ヒューレン博士はハワイの祈りである「ホ・オポノポノ」という伝統的な心理療法をおすすめしています。
ホ・オポノポノは、自分に対して
・ありがとう
・ごめんなさい
・許してください
・感謝しています
・愛しています
と繰り返すだけのシンプルなものです。
これはイライラしたとき、苦しいとき、悲しいときなどに実践してみてください。
私の友人が「ホ・オポノポノ」を1週間実践してみたときの感想では、毎日1時間くらい唱えると日常的に心が穏やかになったそうです。周囲の人たちが集まって人の悪口を言ってるのを目の当たりにしても「そんなことには関わらない方が良いのに」とさらりとスルーできたと述べていました。
■恋は楽しいことばかりではない

恋は必ずしも楽しいことばかりではありません。苦しいこともたくさんあるはずです。しかしそのような体験をしたときには、まずは上記の療法をしばらく続けてみてください。自分の感情が変わってゆくことに気づくことでしょう。
なお、インナーチャイルドはそもそもがとても根深いものです。

良い方と巡り合い、みんなが幸せな恋を楽しめますように。
■今回のポイント
・インナーチャイルドは傷ついた自分の過去の記憶のこと
・インナーチャイルドのせいで恋愛に問題が生じる人もいる
・インナーチャイルドを癒やす手軽な方法は3つある
・自分の思考や感情を受け入れてあげることが大切
・恋は楽しいことばかりではないからこそ、自分をいたわる気持ちが大事