
インスピレーションとは言葉にならない閃きや直観のことです。
ふと誰かのことを考えていたら、その人から連絡が来た。にこやかな礼儀正しい第一印象の人だったものの、どこか違和感を感じていたところ、やがて詐欺師だったことが発覚した。また、どうしても解けない問題を抱えていたところ、ある日夢で解決方法を教えてもらった。
インスピレーションを磨くことで、危険を察知したり、判断を明確にしたり、理屈を超えて人や物事の本質を把握したり、抱えている悩みを解決したりすることに役立ちます。そして何よりインスピレーションを磨くことは自分を知ることにも通じます。そのため、より充実した人生を送ることができるようになります。
今回はインスピレーションの磨き方についてお話します。
目次
■インスピレーションとは?
インスピレーションは五感(味覚・嗅覚・触覚・視覚・聴覚)以外に人間に備わっているもう一つの感覚です。19世紀、ヨガの達人で、日本はもちろん、世界中の名だたる実業家たちを指導した中村天風は、インスピレーションについて「第六感」と表現しました。
インスピレーションの発現は多岐にわたります。絵画や音楽の閃き、数学の難問の解決、危険の予知、ときには天啓のように人生を導くこともあります。
私たちの生活でいえば、インスピレーションはたとえば「虫の知らせ」として感じることがあるかもしれません。また人によっては直観や霊感として働くこともあるでしょう。
このインスピレーションは上手に活用すれば、危険を察知したり、良いものを掴み取ったりすることもできるようになります。
次の項目ではインスピレーションの仕組みと磨き方について説明します。
■【潜在意識】インスピレーションは誰にでも備わっている

インスピレーションは誰にでも備わっています。
ふと振り返ったら誰かが見ていたというのは日常的にあるはずです。視線というのは物理的な力を持っていません。でも、誰かの視線を感じることはごく普通にあります。また恋愛であれば相手からの愛情や想いといった気配を感じることはごく自然に感じるはずです。
インスピレーションは潜在意識の力です。この力は個人が培ってきたものと、遺伝子に刻まれているものの2種類に分かれます。
①インスピレーションが打ち出す個人の力の例
インスピレーションが打ち出す個人の力の一例として、プロの将棋指しは盤面を見た瞬間に何手先にどのコマで勝負がつくと言います。
また数学の世界にはまだ証明されていないたくさんの難問があります。一方、数学者たちは数式を見た瞬間、その問いがまず「正しいのか間違っているのか」が直感的に判断できると言います。
これらのインスピレーションは個人の経験によって培われたものです。数え切れないほどの将棋を指してきたり、数式を解いてきた人であれば、これまでの経験が潜在意識にストックされているため、即座に回答を導き出しているのです。
②インスピレーションが打ち出す遺伝子の力の例
もう一種類のインスピレーションは、遺伝子に刻まれている力です。これは生存する力と言い換えても良いでしょう。
私の知人に武道の達人がいますが、この人が腕試しを兼ねて外国で戦争に赴いたそうです。するとあるとき「この道は歩きたくない」と突然、感じたのです。
そこでインスピレーションに従って道を変えてしばらくした頃、突然、爆弾が爆発して山ごと吹き飛んだのです。
またこの達人には、私と共通の知人がいました。しかしあるとき「彼はどうも何かが良くない気がする」と私に話をし、それから数日後、突然の心筋梗塞で亡くなってしまいました。
このように遺伝子に刻まれたインスピレーションは野生動物の持つ直観に近い面があります。もっと言えば、実際に動物だった遥か昔から、代々の遺伝子に刻まれて受け継がれてきた潜在意識の力なのです。
■インスピレーションは恋愛にも応用できる
個人的な経験であれ、遺伝子に刻まれた生存本能であれ、私たちが潜在的に持っているインスピレーションは恋愛にも応用できます。
たとえば自分がご先祖さまだったとしたら、子孫に対してダメンズ君やメンヘラさんを上手に避けて理想的な恋愛をし、やがて幸福な家庭を築いてもらいたいと当然思うはずです。この思いは人間よりも原始的な欲求として私たちの遺伝子に刻まれています。
インスピレーションは特別なものではありません。誰にでも備わっています。ただし、インスピレーションにも強弱があります。
どれほど遺伝子に刻まれていても、ダメンズ君やメンヘラさんを引き当ててしまう人は常に一定数います。また、頭の片隅で「この道は通らない方がいいな」と予感がしても、時間がないからなどと理由をつけて結局そこを通って交通事故に遭ってしまう人も少なくないでしょう。
では、インスピレーションを磨くにはどうしたら良いでしょうか。
■インスピレーションを磨くにはマインドフルネスこそが最適

現在、自己啓発はもちろんのこと、ビジネス能力の開発や心理療法など、世界のさまざまな分野で積極的に採り入れられているマインドフルネス。マインドフルネスとは数千年前より行われている瞑想から、思想や宗教の要素を除いたものです。
マインドフルネスを端的にいえば、「今、ここ」に絶えず意識を合わせ続けることが目的です。雑念を消去して意識と行いをピタリと一致させ続けるため、とても微細な感覚である潜在意識からのサインやインスピレーションを受け取りやすくなるのです。
マインドフルネスのやり方はシンプルなもので、その場で誰でも行うことが可能です。
・マインドフルネスのやり方
マインドフルネスのやり方は無数にあります。ここでは呼吸に意識を合わせる「数息観」と呼ばれる方法についてお伝えします。
①椅子に腰をかけて背筋を伸ばします。あぐらでも正座でも構いません。
②目を閉じるか閉じないか程度にまぶたを軽く落とし、次いで呼吸に意識を合わせます。鼻からゆっくり息を吸って鼻から吐き出します。
③息を吸うときに「ひとー」と心の中で唱え、息を吐くときに「つー」と唱えます。
④同じように「ふたーつ」「みーつ」と唱え、「とお(10)ーつ」まで唱え終えたら、また「一つ」に戻ります。
⑤雑念が湧いてきて数を数えるのを忘れたり、呼吸から意識がそれたら、また意識を呼吸に戻し、数を数える作業に戻ります。
⑥数息観は最初は5分程度からはじめて、慣れてきたら20~30分ほど続けてみましょう。終わったときに目を開けてあたりを見回してみてください。世界が物理的にくっきりとクリアに見えるはずです。自分が今までいかに曇った目で世界を眺めていたのかわかることでしょう。
(なお、もし座禅に抵抗がないのであれば、個人的には近所にある曹洞宗か臨済宗のお寺を尋ねてみることをおすすめします。無料のところから、500円程度で正しいやり方を指導してくれることでしょう。)
・マインドフルネスの注意点
マインドフルネスのやり方はさまざまですが、注意点があります。
①精神疾患のある人はマインドフルネスを控える
1つ目はうつ病や統合失調症の方はマインドフルネスを控えてください。潜在意識の世界は混沌としたものです。心を集中させて潜在意識の世界に深く埋没すると、ときにありえない神の声を聞いたり、妙な感覚に襲われて間違った確信を抱いてしまうことがあります。これは人生を破滅へと導きかねません。
②占いや前世に関連するマインドフルネスには関わらない
もう一点、占い師や前世などのスピリチュアルを押し出している人からの瞑想指導もおすすめしません。理由は後述します。
■なぜマインドフルネスがインスピレーションを磨くのか
マインドフルネスは潜在意識にアクセスし、インスピレーションを磨きます。その理由は「自我意識」をなくすためです。
人間に限らず、あらゆる生命は「自我」を持っていますが、自我とは言い換えると「欲」のことです。生きたい、おいしいものが食べたい、恋愛がしたい、お金を儲けたい……。程度の大小はあれ、これらはいわゆる「欲求」であり、マインドフルネスを進めてゆくほど、自分というものの本質が実は欲であることに気づかされます。
この本質を知らず、マインドフルネスに没頭する人はたくさんいます。とくにスピリチュアルに感心の高い欧米人の中にはマインドフルネスでESP(超能力)が使えるようになりたいと真剣に取り組んでいる人がたくさんいます。
しかしこれらは効果がないばかりか、最終的には取り返しのつかない事態にも陥りかねません。
マインドフルネスは一点に意識を集中させます。そのとき、たとえばイメージとしてお付き合いしたい相手のことに意識を集中させたり、またその他の欲求に根ざした指導を受けると、結局、欲望の中に意識が埋もれていってしまいます。
では欲に飲まれるとどうなるのか。「やめたほうがいいよ」とインスピレーションが降りているのに、どうしても恋人が欲しいばかりにダメンズ君やメンヘラさんを引き当ててしまい、散々な目に遭うかもしれません。
「関わってはダメだよ」とインスピレーションが言っているにも関わらず、喉から手が出るほどお金が欲しいばかりに、詐欺話に引っかかってしまうかもしれません。
同様に仮に霊感があっても自己の魂を磨いていない占い師やスピリチュアリストから指導を受けると、彼らの思想も入り混じってきてしまいます。マインドフルネスをやればやるほど何が本当で何が偽物なのかわからない世界へと入り込んでしまいかねいのです。
とは言え、みなさんは恋愛を叶えたいためにインスピレーションを磨きたいはずです。そこで次はインスピレーションを磨いて恋愛を成功させるための考え方についてお伝えします。
■インスピレーションを磨いて幸せに生きる

恋愛の望みを叶えたいからこそ、恋愛の欲を捨てるというのは本末転倒に思えるかもしれません。しかし、相手への執着心を手放さない限り願いは叶わないという点でいえば、引き寄せの法則でいわれる「手放し」も実は同じ仕組みです。
人にはそれぞれ世界があります。自分の世界、好きなあの人が持っている世界、そして現実に動いているこの世界。あなたは自分の世界を持っていますが、好きなあの人の世界に踏み込むことはできません。
大好きな人のことをあれこれ考えているのは楽しい反面、苦しい時間でもあるはずです。それはあなたが作り出した「あの世」です。失恋や復縁で相手のことを考えている間、あなたはあなた自身の力で苦しい世界へと心を旅立たせていってしまっています。
一方マインドフルネスを行うと雑念に惑わされない現実の世界をありのままに見ることができるようになります。そして現実にあるこの世界とは神さま仏さまの作ったこの世のことです。
執着心にとらわれずに眺めるこの世はフラットな世界です。恋愛や復縁でたとえると「あの人と付き合ってもいいし、付き合わなくてもいい。なぜなら世の中にはすてきな人がいっぱいいるから」と言うことになります。
マインドフルネスで執着心を遠ざけ、自分軸でこの世を生きるようななったそのとき、あなたのインスピレーションは大きな力を発揮し、恋を引き寄せ出すことになります。
のみならず物事にとらわれないこと。あるがままを受け入れること。マインドフルネスを通じてそれらの意味が理解できたとき、あなたの人生は真に望むがままの幸福を得ることができるようになるでしょう。
なお、自分軸を持ったさらに魅力的な人となるために、自分で心理学を学び、日常で活用するのもおすすめです。引き寄せの法則と合わせて活用することで、自分だけの効果的な活用法を見出すこともできることでしょう。
良い方と巡り合い、みんなが幸せな恋を楽しめますように。
■今回のポイント
・インスピレーションは五感を超えた人間が持つ力
・インスピレーションはどんな人間でも持っている
・インスピレーションには個人的なものと、遺伝子に刻まれたものがある
・インスピレーションを磨くにはマインドフルネスを行うこと
・マインドフルネスは自己の根源である欲をなくすことにつながる
・マインドフルネスを行うことで人は本当の幸福へと至ることができる